立民・野田氏「薄味」、国民民主・玉木氏「素直」 首相所信表明の評価で際立つ方向の違い
石破茂首相の所信表明演説に対する野党の反応は、立憲民主党と国民民主党で評価軸が異なり、方向性の違いを改めて印象付けた。 立民の野田佳彦代表は29日、演説全体の印象を「あまりに薄味だった。使う言葉が軽すぎて貫くものはない」と酷評した。立民は臨時国会で自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けた自民の「政治とカネ」問題を追及する構えだ。 野田氏は政治改革に関して演説後半で簡素にしか触れなかったとし、「あまり反省してないのではないか。極めてがっかりした」と批判した。 国民民主の玉木雄一郎代表も「非常に物足りない内容だった」と述べたが、その方向性は野田氏と大きく違った。玉木氏が不満に感じたのは、首相に直談判した原発の最大限活用やリプレース(建て替え)・新増設などの「攻めの政策」への言及がなかったためだ。 その面での「ゼロ回答」に、玉木氏は「政権の弱さを表している」と指摘し、「私たちが政策提案や提言で埋めていく覚悟を持って、国会に臨んでいく」と宣言した。 また、首相が演説冒頭と最後に引いた石橋湛山元首相の言葉の受け止め方でも差が出た。 野田氏は「石橋湛山の言葉は残ったが、石破首相の言葉は残らない」と断じた。玉木氏は「野党の協力なくしては政権が成り立たないことを率直に述べた」とし、政府・与党と政策ごとの協議を進める姿勢を改めて強調した。(千田恒弥)