【2024 MotoGP 第16戦日本GP】バニャイアが日本GPを完全制覇! 母国ラストランの中上貴晶は13位入賞
2024年10月4日から6日にかけて栃木県茂木町にあるモビリティリゾートもてぎにてMotoGP第16戦日本GPが行われた。今年もフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)とホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)の熾烈なタイトル争いが日本でも展開される。そして、母国戦最後となる中上貴晶(IDEMITSU Honda LCR)の走りを目に焼き付けようと多くのファンがサーキットに足を運んだ。 【写真はこちら】MotoGP 第16戦日本GPで活躍したライダーたちの雄姿 ●レース終盤でまさかのドラマ! バニャイアが貫禄のスプリント優勝 予選ではスーパールーキーのペドロ・アコスタ(Red Bull GASGAS Tech3)が初のポールポジションを獲得。アコスタは2番手のタイムを出していたが、ポールラップを出していたマルク・マルケス(Gresini Racing MotoGP)にトラック外走行の判定が下り、アコスタのポールポジションが決定した。 2番グリッドにバニャイア、3番グリッドにはマーベリック・ビニャーレス(Aprilia Racing)が入っている。 マルケスは9番グリッド、そしてランキングトップのマルティンは予選で転倒があり11番グリッドからのスタートとなった。 土曜日のスプリントレースは難しいコンディションとなった。曇り空で雨も気にならない程度であることから、各車スリックタイヤでレースに挑む。 気温20度、路面温度23度のドライコンディションの中、12周のスプリントレースがスタート。スタートではバニャイアはホールショットを奪い、4番グリッドスタートのエネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)も続き、ドゥカティワークスがワンツー体制を形成。しかし、アコスタもすぐに盛り返し2位でバニャイアを追う。 その後方ではマルケスとマルティンが好スタートを決めており、マルティンは一気に5位まで浮上。マルケスも6位につけ、優勝争いにも絡める位置につけた。 しかし、その後ペースが上がらないマルティンをマルケスがオーバーテイクし5位に浮上。トップ争いはアコスタは3周目のターン5でバニャイアをオーバーテイクしトップに躍り出た。 最後尾からポジションを上げていた中上だったが、5周目にチームメイトのヨハン・ザルコ(CASTROL Honda LCR)と接触し転倒。ザルコにはロングラップペナルティが科せられたが、中上はここでリタイアに終わってしまった。 トップ集団はアコスタ、バニャイア、バスティアニーニの3台による接近戦となったが、初優勝に向けてひた走るアコスタがペースアップ。残り5周でバニャイアとの差をコンマ7秒ほど拡げて優勝を確実なものにすべく攻める。 しかし、好事魔多し。残り4周でアコスタが痛恨の転倒を喫してしまいバニャイアがトップに浮上。初優勝目前での転倒に、アコスタは悔しさや怒りといったさまざまな感情が渦巻く中で天を仰いだ。 アコスタの転倒で3位に上がったマルケスは終盤にペースアップ。2位のバスティアニーニ攻略に動いていく。残り2周のV字コーナー立ち上がりで横に並ぶと、続くヘアピンでクロスラインを仕掛けたマルケスが2位に浮上。 しかし、バスティアニーニがダウンヒルストレートでマルケスのスリップストリームを使い、90度コーナーで2位を奪いかえす。 このバトルでペースを上げたバスティアニーニはファイナルラップでバニャイアの背後に迫り、トップ3が一塊での走行となる。しかし、順位が変わることなくバニャイアがトップでフィニッシュ。バスティアニーニ、マルケスの3台が表彰台を獲得した。 マルティンはレースペースがなく4位。それでも予選順位を考えると現状考えうる最小失点と言えるだろう。しかし、ポイント差は15にまで詰められている。 ●バニャイアがもてぎ初制覇!マルティンが2位に入るもその差僅か10ポイントに 日曜日も上空には雲が広がっていたものの、雨は降らずドライコンディションに。気温21度、路面温度26度の中、24周の決勝レースがスタートした。 スプリント同様、バニャイアが好スタートを決めトップに浮上。後方では、こちらもスタートを決めたマルティンが6位、マルケスが5位と好位置につける。 オープニングのセカンドアンダーブリッジを過ぎたところでアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)がジョアン・ミル(Repsol Honda Team)に接触し、両者リタイアといきなりアクシデントが起こる展開となる。 スタートでバニャイアの先行を許したものの、ペースが良く2位を走行していたアコスタ。前日の雪辱を晴らしたいところだったが、3周目のヴィクトリーコーナーの切り返しでフロントを失い転倒を喫してしまう。コースに復帰するものの、アコスタにとって厳しい週末となってしまった。 一方、スタートで順位を上げたマルティンは、マルケスやビンダーを攻略し2位に浮上。マルケスもビンダーを抜き表彰台圏内に入ってきた。 2位に上がったマルティンはライバルで先頭のバニャイアを追う。前日のレースペース不足が嘘のように、今回はハイペースを維持し、バニャイアとの差を詰めていく。 しかし、マルティンのペースを見ながらコントロールしていたバニャイアは1秒ほどの差をキープし隙を与えない。 終盤になると両者の差が僅かに広がっていく。後方からの追い上げにタイヤを使ったマルティンとトップでペースをコントロールしていたバニャイアの差が出始めたのだ。 その後ろではランキング3位を争うマルケスとバスティアニーニの3位争いも接近。特にマルケスがミスをしたこともあり、両者の差はさらに接近していった。 一時マシンの交換が許可されるも、終盤になるとサーキットには日差しが差し込み、路面温度も上昇。レースは終盤ということもあり、各車タイヤが厳しい中でのレースを強いられることに。 そんな中でもマルティンがラストスパートをみせるも、バニャイアもこれに反応しトップを死守。最終的に1秒6差をつけたバニャイアがトップチェッカーを受け日本GPを完全勝利で飾った。 意外なことにバニャイアはもてぎで初優勝。スプリントに続く勝利でランキングトップのマルティンとの差は10となっている。マルティンは週末を通してバニャイアに先行を許す結果に終わってしまったが、予選の失敗を最小限にすることに成功。 3位にはバスティアニーニとのバトルを制したマルケス。前日やられてしまった相手にやり返したマルケスはバスティアニーニとのポイント差を2としている。 最後の母国戦となった中上は荒れたレースをしっかり走り切り、13位でフィニッシュ。レース後には観客席の方に走り、ファンへの感謝を示していた。 残りわずか4戦となった今シーズン。マルティンとバニャイアのタイトル争いは熾烈を極めるが、どちらかが抜け出すことになるのか、はたまた・・・。 次戦は10月18日から20日にかけてオーストラリアのフィリップ・アイランド・サーキットで行われる第17戦。毎年ドラマが起こるトラックなだけに、今年もタイトル争いを左右する1戦になるかもしれない。そして、他とは違う特殊なサーキットなだけに苦戦を強いられているヤマハやホンダの巻き返しにも期待したいところだ。
河村大志