将来の夢を「スポーツ選手」と書くのが嫌だった──ラグビー元日本代表・山田章仁38歳が現役を続ける理由
現役最多のトライ数を誇るウイング兼フルバックは、4人の子どもを持つ父親でもある。家族の存在はもちろん支えとなっているが、肩に力が入り過ぎることはない。自然体だ。 「子どものために頑張るというのは、正直に言ってあまりないんです。強くあるのは家族への感謝の気持ちですね。妻と子どもと一緒に生活をしながら、学生のときと同じようにラグビーにのめり込むことができている環境に、すごく感謝しています」 グローバルに活動したいとの思いも、変わらずに育まれている。 「数年前からハワイにベースを置いて、いまは日本に戻って来て、これからどうするのかは家族で作戦会議中です。子どもたちにはいろいろな経験をしてもらいたいし、僕自身もグローバルに活躍するのが一番楽しいので。それがラグビーじゃなくなったとしても、グローバルでという思いは変わらないですね」
もちろん、もうしばらくはラガーマンとして勝負する。 「この年齢になってようやく、自分のなかでラグビーをやることの意味が固まってきたというか。ここからが楽しいはずだから、いまやめるなんて考えられないですね」 自分らしくあるために。家族への感謝を示すために。生まれ故郷を盛り上げるために。日本ラグビーの価値向上のために。 ラガーマンとしての魂を、山田は燃やし続けていく。
山田章仁(やまだ・あきひと) 1985年7月26日生まれ。福岡県出身。身長181センチ、体重85キロ。福岡の小倉高校から慶應義塾大学に進学。2008年にホンダヒートとプロ契約。10年に三洋電機(現パナソニック)に移籍し、トライ王を2度、プレーオフで3度のMVPに輝いた。15年ワールドカップの日本代表に選出。サモア戦で決めた、体を回転させて相手をかわしたトライは「忍者トライ」と呼ばれた。現在は九州電力キューデンヴォルテクスに所属。ことし5月には「リーグワン」ディビジョン2への昇格に貢献した。妻はタレントの山田ローラ。 「ラグビーワールドカップ2023」が、2023年9月8日から10月28日まで開催されます(現地時間)。Yahoo!ニュースでは、オリジナルコンテンツを通して、大会をより一層楽しめる情報をお届けします。