南野拓実の移籍先サウサンプトン、マンUに「0対9」敗戦!チームシステムと「南野の居場所」
【イングリッシュ・プレミアリーグ マンチェスター・ユナイテッドvsサウサンプトン 2021年2月2日(日本時間29:15キックオフ)】 【動画】開始2分で一発レッドとなった衝撃の前蹴りファウル たった90秒足らずで試合が壊れてしまった。 キックオフから勢いよくユナイテッドに挑んだサウサンプトンだったが、ルーズボールに反応したスコット・マクトミネイに対し、出遅れたアレクサンドル・ヤンケヴィッツが前蹴りのようにスパイクの裏を向けたまま激突し、一発退場。3連敗中のラルフ・ハーゼンヒュットル監督が用意していたであろうプランは、2分足らずでふいになってしまった。 ヤンケヴィッツは2018年の夏、16歳でサウサンプトンのU18チームに加入したスイス期待の選手だ。U18、U23のチームでプレーし、今年1月19日のFAカップで5分、30日のリーグ戦で1分の試運転を経て、この試合で満を持しての先発デビューだったが、苦すぎる経験になってしまった。 いきなり数的優位となったユナイテッドだったが、あまりにも早すぎたこの出来事は、試合を難しくする可能性があった。こうしたケースでは、退場者を出したチームは、とりあえず引く、という選択をすることが多い。10人がゴールを奪われないことだけのためにプレーするようになると、1人多くてもなかなか思うように攻撃することはできない。ペナルティエリアの中を7、8人で常に守られてしまうと、アタッキングサードでひたすらボールを回して時間を失っていく展開が待っている。 しかし、この試合ではそうはならず、大差がつく展開になった。その要因は2つある。
1つ目は、ユナイテッド側が迅速に対応したことだ。 試合が再開してすぐに、ユナイテッドの両サイドバックはウイングバックのように1つ高い位置でプレーするようになった。それだけでなく、センターバックのハリー・マグワイアがボールを持ったままラインを押し上げ、圧を強めた。 そして18分、左サイドバックのルーク・ショーのクロスボールを右サイドバックのアーロン・ワン=ビサカが決めた。左サイドからの揺さぶりは続き、25分には左ウイングのメイソン・グリーンウッドから右ウイングのマーカス・ラッシュフォードへボールが通って2点目が生まれ、これで試合は決した。 前半で4-0というスコアになったことは、数的優位に立った時の立ち振る舞い方がチームとして共有されていたことが大きい。様子を見ながら余裕たっぷりに攻めているうちにスコアレスドロー、という展開を回避することができればこういうスコアになる。 また、ユナイテッドはその後も攻撃を緩めず、弱者を徹底的に潰す姿を見せた。ドイツの絶対王者であるバイエルン・ミュンヘンのお家芸のようなこの無慈悲な勝ち方を、OBのギャリー・ネヴィルに「勝者のメンタリティがない」と苦言を呈されたチームが見せたことは大きい。 大差がついた2つ目の要素は、サウサンプトン側の姿勢だ。どん引きするのではなく、前に出る意欲を見せたのだ。