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見通し立たずの新型コロナウイルス感染拡大。 富裕層はすでに脱出も。もうどこにも行けないのか?

山田順作家、ジャーナリスト
クルーズ船を脱出したアメリカ人乗客の一部も感染してた(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルス 「COVID19」の感染拡大が続いている。毎日、感染者数が増え、その報道に注意を払わないと、生活がままならなくなった。

 いまや、誰と会っても、新型コロナウイルスの話しかしなくなった。誰もが報道内容のほとんどを疑っていて、楽観論は吹き飛んでしまった。

 日本は、本当に情けない国に成り下がった。「ダイヤモンドプリンセス」で作業を行っていた厚労省の幹部など国の職員4人が感染していたと伝えられたら、今度は、船に入った職員90人余りが検査を受けずに職場に復帰していたという。となると、日本の中心、霞ヶ関はもう感染地域になってしまったことになる。

 昨日(2月22日)、伝えられたことで、私が懸念したことを、以下、列記してみる。

 

■イタリアでは初めての死者が出た。さらに15人が感染。10都市を封鎖。(欧州は大丈夫かと思ったが、もうそうではない)

■米国の感染者は34人に達した。ダイヤモンドプリンセスの乗客253人が帰国したが、そのうちの11人が検査で陽性となった。(インフルエンザ感染者のなかに新型コロナウイルス感染者も含まれているとすると、もうアメリカでも感染が拡大していることになる。アメリカは明らかに検査をしていない)

■中国政府は武漢に新たに19の病院(感染者を隔離する強制収容所か?)を建設すると発表した。(やはり、新型コロナウイルスは人工なのか?)

■ハワイでは感染の疑いのある患者の検査を行っていない。(検査キットがないのだという)

■レバノンで初めての感染者が確認された。イランでもテヘランに感染が拡大し、新たに9人が感染。(中東は圏外と思ってきたが、もうそうではなくなった)

■韓国では感染者が急増しており204人が感染。

 次は、ワシントン発の共同電。

【ワシントン共同】米国務省は22日、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の拡大を受け、日本全土への渡航警戒レベルを4段階中で下から2番目の「注意を強化」に1段階引き上げた。感染するとより重症化しやすいとされる高齢者や持病のある人に対し、不要不急の日本への旅行は延期を検討すべきだとした。

 これまではレベル1の「通常の注意」だったが、「経路不明な感染が広がっている」ことを警戒強化の理由に挙げた。他国が追随する可能性があり、日本経済への影響が懸念される。国務省は同日、感染者が急増する韓国も日本と同様にレベル2とした。

 アメリカ企業では、すでに一部で日本出張を見合わせる動きが出ている。私の知り合いの在米日系人も、予定していた日本渡航をキャンセルした。留学生たちも、アメリカに戻れない可能性が出てきたので、帰国を見合わせるようになった。

 これまで「新型コロナウイルスが経済に与える影響」などという記事がいっぱい書かれ、そのほとんどを読んできたが、最近は、悲観論に満ちてきた。そうでなくとも、日本経済は昨年の消費税の増税で大きなダメージを受けている。これまで「円は安全資産」などと言ってきた人々は、狼狽している。

 このまま感染拡大が続けば、日本は「危険地域」になる。誰も来ないし、誰も出ていかれない。アメリカもじつはそうなりつつあるとしたら、全世界でヒトの動きが止まる。ヒトとともに、モノとカネが動く。このまま、私たちは、中国に次ぐ2番目の感染国となった日本に閉じ込められてしまうのか?

 世界中で富裕層の一部は、未感染の安全地域に移動している。南国リゾート国家などでしばらく暮らし、事態が落ち着くのを待つようだ。コロナウイルス感染拡大がなくとも、中国の富裕層は、ほとんどが海外移住を選択する。今回は、その動きが加速している。日本の富裕層の一部にもその動きがある。

 いまや、世界中の航空会社が各国政府の対応を見て、減便や運行停止を決めている。

 

 すでに、アメリカ、オーストラリア、ロシアも中国本土からの中国人、中国に渡航した外国人の入国を拒否している。多くの国が同様の措置を取り出している。また、自国民の中国渡航を禁止、あるいは抑制を決めた国は数えきれなくなった。日本へも同様の措置が取られようとしている。今後は、その情報に注意しておくことが必要だ。

 日本政府のサイトはもとより、次の3つのサイトも常時、チェックすることをお勧めしたい。

■アメリカ国務省のサイト

https://www.state.gov

■アメリカCDCのサイト

https://www.cdc.gov

■アメリカ、ジョンズホプキンズ大学のサイト

(The Johns Hopkins Center for Health Security)

http://www.centerforhealthsecurity.org/resources/COVID-19/

 いまさら、日本政府の無能ぶりを追及しても、ほとんど意味がない。私たちは、自分の行動で感染拡大を防ぐほかない。

作家、ジャーナリスト

1952年横浜生まれ。1976年光文社入社。2002年『光文社 ペーパーバックス』を創刊し編集長。2010年からフリーランス。作家、ジャーナリストとして、主に国際政治・経済で、取材・執筆活動をしながら、出版プロデュースも手掛ける。主な著書は『出版大崩壊』『資産フライト』(ともに文春新書)『中国の夢は100年たっても実現しない』(PHP)『日本が2度勝っていた大東亜・太平洋戦争』(ヒカルランド)『日本人はなぜ世界での存在感を失っているのか』(ソフトバンク新書)『地方創生の罠』(青春新書)『永久属国論』(さくら舎)『コロナ敗戦後の世界』(MdN新書)。最新刊は『地球温暖化敗戦』(ベストブック )。

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