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「性別転換アプリ『FaceApp』の規約は危険」は誤り。2019年の情報で現在は修正済み

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
人気アプリ『FaceApp(フェイスアップ)』。筆者キャプチャ

 人物写真の性別や年齢を変更できる人気アプリ『FaceApp(フェイスアップ)』の規約が危険だと指摘する『Twitter』の投稿が18,000件以上も拡散され、まとめブログなどの影響もありいまも誤解が広がり続けています。

『FaceApp』は女性化・男性化アプリとして人気に

 『FaceApp』は2017年にリリースされたアプリです。子供の写真を大人にしたり、自分を老人にしたり、はたまた異性化したりといった使い方で人気を博していました。

 これまでも何度かインターネット上でバズっていたのですが、2020年6月に入ってから「自分を性転換できるアプリ」として再び人気に。

 ミュージシャンの西川貴教さん、女優の石田ゆり子さん、歌手の水木一郎さん、イラストレーターの岸田メルさんといった著名人も、実際に自分を異性化した写真を公開するなどしてユーザーのあいだで利用が広がっていきました。

『FaceApp』の規約は危険と訴えるツイートが18,000件以上も拡散

 しかし、6月19日にとあるユーザーが「『FaceApp』結構やばめの規約を堂々と出してる」と訴えるツイートを『Twitter』に投稿します。

投稿されたツイート(現在は削除済み)。Googleキャッシュより
投稿されたツイート(現在は削除済み)。Googleキャッシュより

 画像として添付されていた規約には

 「FaceAppに対し、お客様はユーザーコンテンツおよび、付随して提供した名前、ユーザー名、肖像を、現存並びに今後開発される全てのメディア形式およびチャンネルで使用、複製、変更、適応、公開、翻訳、派生物の作成、配布、出版を、世界的に永久的、非独占的、非取消、無償で付与することになります」

 と書かれていたことから、「『FaceApp』は危険」という情報が広がっていきました。

問題の規約は1年前に話題になったもの

 ただ、その問題とされていた規約は約1年前の2019年07月にメディア『ギズモード・ジャパン』が掲載していたものであり、現在の規約とは異なるものです。

 『FaceApp』の現在の規約には次のように書いてあります。

『FaceApp』はお客様が本サービス上、または本サービスを通じて投稿したユーザーコンテンツの所有権を主張しません。お客様は『FaceApp』に対し、本契約の期間中、本サービスを提供するためにのみ、お客様のユーザーコンテンツを使用、複製、変更、翻案、派生物の作成、配布、実行、および表示するための非独占的、ロイヤリティフリー、全世界的、完全に支払われたライセンスを付与するものとします。

Further, FaceApp does not claim ownership of any User Content that you post on or through the Services. You grant FaceApp a nonexclusive, royalty-free, worldwide, fully paid license to use, reproduce, modify, adapt, create derivative works from, distribute, perform and display your User Content during the term of this Agreement solely to provide you with the Services.

出典:Terms of Use Agreement - FaceApp

 読めば分かるとおり、『FaceApp』はユーザーが投稿したコンテンツの所有権を主張しておらず、コンテンツの使用もサービスを提供するためのみに留められています。

 つまり危険だとされた規約はすでに修正されており、2019年時に騒がれていたことを再び騒いでいるのがいまというわけです。

投稿された写真も48時間以内に削除

 また、2019年時の騒ぎのなかで『FaceApp』はメディアに対し、「投稿された写真はアップロードから48時間以内に削除している」こと、「ユーザーデータを第三者に販売または共有することはない」といった説明を行っています(参考12)。

 1年前におわった騒ぎにいま慌てることなく、ネットのビッグウェーブのひとつとして『FaceApp』を楽しみましょう。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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