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新紙幣の発表に便乗した詐欺に注意。「旧紙幣が使えなくなるため交換のため回収します」といった嘘を予想

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
発表された新紙幣のデザイン。財務省より

 4月9日、日本政府が1万円札、5千円札、千円札を新しいデザイン・図柄に変更すると発表しましたが、このニュースに便乗した詐欺が必ず起きると思うので注意を促す記事を先に書いておきます。

 予想される詐欺の内容としては「旧紙幣が使えなくなります。交換のため係の者がご自宅まで回収に伺います」、「新紙幣の枚数が足りなくなるため、早めに予約しませんか?」といったところです。

いまの紙幣が使えなくなることはない

 とにかくあの手この手でいま流通している紙幣を回収しにかかると思います。しかし、新紙幣発行でいまの紙幣が使えなくなることはありません。これは日本銀行のホームページでも説明されています。

なお、一度発行された銀行券は、法令に基づく特別な措置がとられない限り、通用力を失うことはありません。そうした特別な措置は、以下のとおり、過去に3回発動されたことがあり、その結果、これまでに発行された銀行券(53種類)のうち31種類については通用力が失われ、現在は銀行券として使えません。

(1)関東大震災後の焼失兌換券の整理(1927年<昭和2年>)

(2)終戦直後のインフレ進行を阻止するためのいわゆる新円切り替え(1946年<昭和21年>)

(3)1円未満の小額通貨の整理(1953年<昭和28年>)

出典:これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか? 古いお札を持っていますが、現在も使えますか? : 日本銀行 Bank of Japan

 法令に基づく特別な措置がとられない限り、いまの紙幣はずっと使えます。夏目漱石や新渡戸稲造のお札がいまも使えるのと同じことです。

 「旧紙幣が使えなくなる」と言って回収しようとしてくる電話は全部詐欺なので注意してください。

ニュースに便乗した詐欺が増えている

 最近は大きなニュースに便乗した詐欺が増えてきている印象です(統計があるわけではないのであくまで印象)。

 直近では新元号「令和」に便乗して「元号が変わるので通帳やキャッシュカードが新しくなります」と嘘をつき、通帳やカードをだまし取る事件が相次ぎました。

 今年1月だとZOZOの前沢友作社長が100名に100万円、総額1億円をプレゼントする企画に便乗して現金を振り込ませようとしたり、bitcoinをだまし取ろうとしたりする詐欺もありました。

 こうしたニュースにあわせたもの以外に、障害に便乗する詐欺もあります。昨年11月にはiPhoneやiPadなどアップル製デバイスで利用するApple IDが原因不明の理由でロックされる事態が多発していたとき、これに便乗して詐欺メールが多数出回りました。

 最近の詐欺は、ほぼ必ずニュースに便乗してきます。もう「主人がオオアリクイに殺されてから1年が過ぎた」くらいで多くの人が騙されなくなってきたのは良いことですが、巧妙になってきているだけに注意が必要です。

 というわけで伝えたいことは以下です。

 いまの紙幣(旧紙幣)、新紙幣が出てもずっと使えます! 騙されないでください!

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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