Yahoo!ニュース

阪神・安芸キャンプ初の練習試合 福永が無失点デビュー、大和は左で初安打、伊藤隼チーム1号!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
11日の練習試合。8回の第4打席で“左”初安打を放った大和選手。

阪神タイガースの春季キャンプは第3クールに突入し、宜野座も安芸も練習試合が行われるなど、より実戦モードとなります。11日は沖縄・宜野座で2度目の紅白戦が、また高知・安芸では初の練習試合が行われました。安芸は真っ青な空が広がっていたものの気温が低く、冷たい風に選手たちも震え上がる寒さ。とはいえ今キャンプ最多の約2500人のお客様で、またご家族も何組か来られた休日です。

11日の練習試合は高知の社会人チーム・四国銀行が相手で、過去に2度の対戦予定が雨天中止になった経緯もあり「ことしは実現しましたね」と声をかけると、選手の皆さんは「はい!やっと」と笑顔でした。結果は1回に3点、2回に2点を奪われて5対3で敗れています。

今季初実戦のスタメンです。
今季初実戦のスタメンです。

《練習試合》2月11日

阪神- 四国銀行 (安芸)

四銀 320 000 000 = 5

阪神 100 100 100 = 3

◆バッテリー

【阪神】竹安-守屋-福永-桑原 / 小宮山-長坂(6回~)小豆畑(8回~)

【四銀】菊池大(5回)-岸本(3回)-亀岡(1回) / 岡崎

◆本塁打 伊藤隼ソロ(岸本)

◆三塁打 緒方

◆二塁打 森越、新井

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:緒方   (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0)

2]二:大和   (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

3]右:狩野   (4-0-1 / 0-0 / 0 / 1)

4]左三:陽川  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

5]一:新井   (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

6]遊:森越   (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

7]三:西田   (1-0-1 / 0-1 / 0 / 0)

〃左:伊藤隼  (2-2-1 / 0-0 / 0 / 0)

8]捕:小宮山  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕指:長坂  (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]指捕:小豆畑 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

竹安 1回 30球 (3-0-2 / 3-3) 141

守屋 4回 69球 (6-3-2 / 2-2) 144

福永 2回 30球 (1-1-0 / 0-0) 143

桑原 2回 19球 (0-0-0 / 0-0) 145

試合経過

1回裏、先頭の緒方選手は右中間へ大きな当たり!
1回裏、先頭の緒方選手は右中間へ大きな当たり!
三塁へ滑り込んでセーフ!
三塁へ滑り込んでセーフ!
4回1死二、三塁で遊ゴロだった西田選手ですが、1点入りました。
4回1死二、三塁で遊ゴロだった西田選手ですが、1点入りました。

先発の竹安は1回、先頭に四球を与え、1死後にショート内野安打と四球で満塁として5番・相原の左前タイムリーで2人を帰します。さらに2死一、三塁となり7番・國澤の右前タイムリー。打者8人にちょうど30球を投じて3安打3失点でした。その裏の攻撃では先頭の緒方が右中間への三塁打を放ち、1死後に狩野の遊ゴロで1点を返します。

しかし2回、2人目の守屋が9番・平山の右前打と狩野のエラーが重なって無死二塁、四球と犠打で1死三塁となり、2死後に4番・小林の打球が守屋の左ふくらはぎを強襲!このタイムリー内野安打で1点追加されて、なおも2死一、三塁。相原にまた左前タイムリーを許しました。3回が1四球のみで無失点。4回は2安打、5回も1安打されながら、ともに遊ゴロ併殺打(森越、大和の二遊間コンビ!)などで0点に抑えています。4イニングを投げ、6安打2失点という今季初登板。

7回に伊藤隼選手がライトへ!
7回に伊藤隼選手がライトへ!
華麗にバットを放り投げて…
華麗にバットを放り投げて…
今季チーム1号のホームランです。
今季チーム1号のホームランです。
ベンチで出迎えられる隼太選手。
ベンチで出迎えられる隼太選手。

その間の打線は2回に西田、3回に大和が四球を選びましたが、他はすべて内野ゴロとフライのみで得点なし。4回に先頭・陽川が内野安打(サードがダイビングキャッチするも投げられず)で出て、1死後に森越が左中間二塁打!これで二、三塁として西田の遊ゴロの間に陽川が生還します。5回は緒方のセカンド内野安打だけでした。

そして6回、阪神は福永と長坂のルーキーバッテリーに交代。2死を取った後に2番・十河の左前打を許したものの後続を断ち、7回は2安打2打点の相原から空振り三振を奪うなど、この試合で両チームを通じ初めての三者凡退です!ホッとしたような笑顔を向け合ってベンチへ戻る2人に、スタンドやベンチから大きな拍手が。

6回は先頭の陽川が死球で出るも遊ゴロ併殺打など3人で終わった攻撃ですが、7回は途中出場の伊藤隼がライトへ今季チーム1号のソロホームラン!これで2点差まで追い上げました。8回からは桑原と小豆畑のバッテリーに代わり、8回はわずか7球で内野ゴロ3つ。9回も簡単に三者凡退と、2イニングをぴしゃりと抑えています。しかし打線は8回、先頭の大和が左打席で初ヒットとなる中前打を放ったものの、1死後に陽川が投ゴロ併殺打。

9回は先頭の新井が左越え二塁打、ただしレフトの守備が少し乱れたのを見て三塁へ向かいますがタッチアウト。残念!続く森越は四球、さらに伊藤隼の右前打で1死一、二塁と攻めるも、長坂は中飛、小豆畑は右飛で試合終了です。

掛布監督の初戦回顧

掛布監督は「最初の1、2回で5点入れられるとね。クリーンアップがある程度、爆発しないと引っくり返すのは難しい。かといって狩野、(新井)良太の中堅クラスに、いま2月11日にそれを言うのは酷だし。負けましたが野手はそれなりによかった。走る方も。多少ミスはあったけど、守りもいい形でやれているし」と今キャンプ初の対外試合を振り返りました。

また投手陣には「竹安はまだまだ、と言ったでしょう?30球と決めていて、1回で30球超えたらどうする?と話していたんだよ。でも30球投げたことに意味がある。守屋は今、疲れているんじゃないかな。追い込んでやっているから。もうちょっと上がってくればね。福永もしっかりストライクを取っていたし、桑原は去年秋から状態がいい。課題はあったけど、まあよかったと思います」とのこと。

8回、監督から「センターを狙っていけ」と耳打ちされる陽川選手。
8回、監督から「センターを狙っていけ」と耳打ちされる陽川選手。
8回、9回を完ぺきに抑えた桑原投手。
8回、9回を完ぺきに抑えた桑原投手。
ご覧のようなスコアで試合終了です。
ご覧のようなスコアで試合終了です。

その後、記者の問いに答える形で個々の選手について話しています。まず福永投手。「スピードボールと変化球が入れば連打はないと攻めていった。攻める気持ちがあった。シートバッティングより気を使わないんじゃない?彼には対外試合の方がいい面が出るのかも」

ついで大和選手。「結果はヒットになったけど、まだこれからかな。体を止めて、流れずに打つことを覚えていかないとね。今も(個別練習で)それを言ってた。ただ左打ちを初めて1年も経っていない。打てたことに意味がある。これからですよね。ゲームをやらないとわからないことがたくさんある」

途中出場でホームランを放ち、9回にも右前打の伊藤隼選手には「きょうバッティング練習がよかったので、打つんじゃないかと言っていたんだよ。彼が置かれている立場を考えると、挑戦していくしかないからね。常に勝負して結果を出し続けないと。2本目のヒットはラッキーだったが、これもいい結果になれば。あしたはスタメンでいくから」

陽川については「特打でも雰囲気が出てきたね。きょうの打席も雰囲気があったので、それほど心配していないんだけど。あれだけのバッティングを特打でされると(この日の試合後に行った特打でもサク越え連発!)、ゲームも近いうちに出ると思うよ。本人も変わってきている自分を感じているだろう」と、そろそろ出そうな大砲に期待のコメントです。

最後に、体調不良で沖縄から帰阪した横田選手のことを聞かれた掛布監督。顔を曇らせて「どういう検査結果が出るかわからないから心配だよね。あの子は素直で、みんなに好かれるタイプ。すごく心配。そうとう辛かったんだろうなあ」と話しました。

投手陣は課題を胸に次へ…

竹安投手は反省しきりの今季初登板。
竹安投手は反省しきりの今季初登板。

では選手のコメントをご紹介しましょう。まず、昨年秋の予告通り先発マウンドに上がった竹安投手。もともと1イニングか、球数によっては2回も…という状況だったと思われますが、ちょうど予定の30球を投げています。1回3安打2四球で3失点。納得のいく球は?と聞かれて「ないです」と浮かない表情でした。2度バットを折った球もあったけど。「それもシュート回転していたので、いい球ではなかったです」

30球投げたことに意味があると掛布監督が言っていました。「実戦も一応、半年ぶりだったので。最悪だったけど…」。課題は?「ある程度、強い球を。力感が出ていないし、変化球の腕の振りもまだ弱いので。まずそこを(クリアして)いかないと、勝負できない」。キャンプでのピッチングについて「去年は100球投げていなかったんですけど、ことしは強く投げられている。去年できなかったけど、ことしはできる。投げないとよくならないので。投げながら強い球を」と言います。焦らず一歩ずつ、ですね。

守屋投手は4回を投げ、6安打2失点でした。
守屋投手は4回を投げ、6安打2失点でした。

次に守屋投手。「気持ちが入ると球が上ずってしまう。ブルペンでは低目に集められているんですけど、気持ちが入ると上ずる。試合に慣れるためのいい経験ができたと思います。これからです」という感想でした。「真っすぐも納得できたのは3、4球くらい。試合での確率が低い。慣れていけば練習から試合に近づけるかなと。スライダーで打ち取れたのはよかったですね。ブルペンでは真っすぐ多め、基本的に真っすぐで押していくので、スライダーの精度は甘いところがありますね」

6安打2四球2失点という内容に「フォアボールはダメですね」と反省の言葉。そして「これより悪くはないと思います、次は」と締めくくっています。この日はおじいさんやお父さん、親戚の方も観戦されたようで、それを聞くと再び少し苦笑いでした。

ルーキーバッテリーは初々しく

上々のデビューだった福永投手。
上々のデビューだった福永投手。
6回、先頭打者のファウルフライを捕る長坂選手。
6回、先頭打者のファウルフライを捕る長坂選手。
7回は三者凡退、笑顔で戻ってくるバッテリー。
7回は三者凡退、笑顔で戻ってくるバッテリー。

実戦デビューの福永投手、の前に球を受けた同期・長坂選手の話を書いておきます。先頭バッターの捕邪飛はナイスキャッチ!と言うと「ありがとうございます!」とニッコリ。福永投手もホッした顔だったような顔に見えました。「だったらよかったです。メチャクチャ緊張していたので(笑)」。配球に関しては「ブルペンでストレートよりスライダーの方がコントロールできていたので、スライダーでいこうと。カーブは1球です」とのこと。

では福永投手です。長坂選手いわく、かなり緊張していたそうで。「ブルペンで、まったくストライクが入らなくて焦っていました。マウンドへ行ったら修正できたのでよかったです」と思い出して苦笑い。でもナイスピッチングですね。「相手がどんどん真っすぐを振って来ていたので、うまい具合にスライダー、カーブでカウントを整えられたのがよかったと思います。きょうは結果だけにこだわって、しっかりゼロに抑えようと。ただ、真っすぐの感覚はあまりよくなかったので、変化球でカウントを整えながら」

最速は143キロでした。「自分の中で、そんなに出ている感じはしなかったですね。逆に、143と聞いてビックリしたくらい」。掛布監督も言っていましたけど、対外試合の方が投げやすかった?「そうですね。シートより、きょうの方が冷静に、楽に投げられたと思う。シートより力みもなかったです」。いいスタートを切れたと思います。

さて次は?「しっかり結果にこだわりたいです。課題を持ちながら」。なお観戦されたお父さんと試合後に会ったそうで「えらい軽く投げとったな」と言われたとか。さすがお父さん、力みのないことを見抜いていらっしゃったんですね。

こちらは1軍で必要な力です

左打席に立つ大和選手。バットを短く持っています。
左打席に立つ大和選手。バットを短く持っています。
8回、低めの変化球にうまくバットを出しました。
8回、低めの変化球にうまくバットを出しました。
タイトル画像に続く写真がこれです。
タイトル画像に続く写真がこれです。

スイッチヒッターに挑戦中の大和選手は、この日すべて左打席で3打数1安打。8回の4打席目で、低めの球をうまくセンター前へ運びました。「最後は追い込まれている中でのヒットですが、何とかうまく当たったなという感じです」という感想。ちなみに右打席とと左打席、練習ではどういう割合ですか?「今はやっぱり左の方が多い。7対3ぐらい」

とはいえ右打ちもやらなくてはならないので、時間がもっとほしいでしょう?「そうですね。一日で時間が全然足りない。自分の中である程度、右の計算はできているし。ただ基本、左が固まらないと勝負にならないので。自然と左が多くなりますよね」。試合で見えてくることもある?「はい。実戦が一番いい練習ですね」

締めは、1回に先頭でいきなり三塁打を放ち、得点につなげた緒方選手です。「先頭打者ホームランかなと思ったけど、風があったし金アミ1個分いかなかった」とちょっと悔しそう。「めちゃくちゃ寒かった!寒くなかったら入っていたかもなあ…」と言っていました。この時期、バッターは打つたびに手がしびれるんですよね。

キャンプ初日からバッティングでアピールしていた緒方選手。でも安芸の外野手が試合をするのにギリギリの3人しかいないし、沖縄に行きたいところだけど…と言ったら「こっちで追い込めているし、しっかりやれている。いいキャンプを送れているので。この状況に置いてもらったことに感謝しています。これで、いいからと1軍へ行って緊張感のある中でやったら…。まだそれはいいかなと(笑)」と充実した表情。

三塁で藤本コーチと笑顔を交わす緒方選手。
三塁で藤本コーチと笑顔を交わす緒方選手。

そうですね。今は自分の力を蓄えて、時を待ちましょうか。「はい!オープン戦が始まって呼んでもらえるアピールをして、その時に『変わったな』『使えるな』と思ってもらえるように結果を出さないと。とにかく内容を濃くしていきたいけど、結果も要る立場ですし」。安芸の斬り込み隊長が、開幕で1軍のそれとなるよう祈っています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事