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日本の歴史的勝利に伊メディア 「規律の功績」「ふさわしい勝利」「最大のサプライズ」

中村大晃カルチョ・ライター
6月19日、ロシアW杯コロンビア戦で決勝点を挙げた大迫勇也(右)(写真:ロイター/アフロ)

劣勢が予想されたコロンビア戦で、2-1と白星発進。日本代表はロシア・ワールドカップ(W杯)で最高のスタートを切った。

W杯史上2位となる早さで退場したコロンビアのカルロス・サンチェスは、かつてフィオレンティーナでプレーした。数的不利から31分でベンチに下げられたフアン・クアドラードは、ユヴェントスの一員だ。同点弾を決めたフアン・フェルナンド・キンテーロは、元ペスカーラの選手。コロンビアが最後に投入したカルロス・バッカは、ミランが保有権を持つ。

もちろん、長友佑都と本田圭佑がミラノの両チームでプレーしたのは、言うまでもない。セリエAと縁のある選手たちがカギとなった一戦を、イタリアのメディアは速報でどう伝えただろうか。やはり多かったのが、「サプライズ」という言葉だ。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』の記事タイトルは、「日本、なんというサプライズ!10人のコロンビアが屈する」。有力国を脅かすサプライズ候補だったコロンビアが、逆にサプライズを許したとした。

サンチェス退場を「狂気のスタート」と評した『ガゼッタ』は、試合のほぼすべてで数的不利だったコロンビアが疲労の代償を払ったと指摘。後半の日本が「より気質を見せ、サイドで裏を突き、より危険となった」とし、「正しいが、最初のミスに支えられた結果」と、立ち上がりのプレーが結果につながったと伝えている。

『コッリエレ・デッロ・スポルト』も同じく「日本、なんというサプライズ!10人のコロンビアがKO」というタイトル。コロンビアのホセ・ペケルマン監督は「2014年のように楽にはいかないと予想していたが、これほど厳しい立ち上がりは想像できなかった」と、やはりサンチェス退場が響いたとした。

ハメス・ロドリゲスのベンチスタートなど、議論を呼ぶペケルマン監督のチョイスもあったとしつつ、後半は「日本が数的優位を生かして押そうとし、その戦術が機能した」。本田の「完璧なCK」から勝ち越した日本が、「リードをコントロールし、ふさわしい勝利を持ち帰った」と報じている。

『スカイ・スポーツ』は、「日本がみんなを驚かせる。コロンビアに2-1」との記事で、「今大会最大のサプライズの一つがグループHで起きた」と報道。「混とんとしてファウルが多い」コロンビアを日本が下し、「ロシアW杯は予期せぬ結果の大会として歴史に残る運命にあるようだ」と驚いた。

同メディアは、「ほぼ完璧な組織プレー、日本の典型的な犠牲を払う姿勢、だが何よりも(戦術的かつ技術的な)規律の功績」と日本の勝利を称賛。一方で、コロンビアには「時間はあまり残されていないだろう。5日後にはポーランド戦だ。笑いごとじゃない。サプライズで笑えるのは、犠牲者にならなかったときだけだ」と警鐘を鳴らしている。

『メディアセット』は、「戦術的規律と忍耐。これらの武器で西野監督の日本は有利なコロンビアを2-1と下し、全員を驚かせてシグナルを発した」と報道。『コッリエレ』同様、日本の「ふさわしい勝利」だったと評した。

また、『メディアセット』は、「今大会で最も拮抗したグループをさらに予測不可能とした」と、決勝トーナメント進出の行方が混とんとしているとの見解も伝えた。日本とグループHの今後に、さらなる注目が集まるかもしれない。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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