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中国で児童レイプ犯に死刑執行

宮崎紀秀ジャーナリスト
中国は児童わいせつへ厳罰姿勢を(写真:ロイター/アフロ)

 中国で子供に対する性犯罪が増加傾向にある。最高人民法院(最高裁に相当)は、今日、児童レイプ犯に対し死刑を執行したと発表した。別の幼女強姦致死犯に対しても近く死刑を執行するという。事態を重く見る中国の司法当局が、児童わいせつ犯に対する厳罰の姿勢を示した形だ。

3人の少女に性的暴行を加えた男が死刑に

 中国メディアによると、死刑が執行されたのは3名の女児に対し、性的暴行や売春を強要していた何龍死刑囚。何は2014年6月養育名目で河南省で当時8歳の女児を買い、山東省に連れ帰り部屋の中に監禁した。そして十数日に亘り女児に性的暴行を加えた。さらに、映像を撮影し、SNSで買春客を募っていたという。女児は後に逃げ出したが、陰部に裂傷を負っていた。

 同年11月には、13歳の知的障害のある少女を同様に監禁し、自ら性的暴行を加えた。さらに、別の男から3000元(約48000円)を受け取り、少女にその男の相手をさせた。同年12月には、10歳の少女を誘拐し、性的暴行を加えた上、怪我を負わせたという。

 何は、強姦罪で死刑、強制売春罪で懲役15年などの判決を下されていたが、きょう死刑が執行されたというわけだ。

 また、最高人民法院は、5歳の少女に対する強姦致死犯、韋明輝死刑囚についても、近く死刑を執行するとしている。

 最高人民法院によると、全国の裁判所で結審した児童わいせつ犯罪の裁判は、2017年で2962件、2018年で3567件。今年は1月から6月までですでに1803件という。増加傾向にある。特にインターネットを使った児童わいせつ事案も増加傾向にあり、ある地区の統計では、3割の被告がインターネットのチャットで子供達と知り合った後に、犯罪に及んだと指摘している。

2年にわたり10人による性的暴行を受けた少女も

 中国の子供に対する性犯罪の温床に、農村における留守児童の問題がある。留守児童とは、両親が都市に働きに出ているなどの理由で、身近におらず、祖父母などと暮らしている子供たちだ。子供達への監督が行き届かない中で、親戚や村人など知り合いによる犯行が、発覚しづらい環境にもある。

 2013年に広西チワン族自治区で裁判になった事件では、一人の少女が11歳から13歳までの2年間に亘り10人の村人たちに性的暴行を受けていた。有罪判決を受けた村人たちは、44歳から76歳までだった。

 子供達を狙う卑劣な犯罪は、決して許されない。

ジャーナリスト

日本テレビ入社後、報道局社会部、調査報道班を経て中国総局長。毒入り冷凍餃子事件、北京五輪などを取材。2010年フリーになり、その後も中国社会の問題や共産党体制の歪みなどをルポ。中国での取材歴は10年以上、映像作品をNNN系列「真相報道バンキシャ!」他で発表。寄稿は「東洋経済オンライン」「月刊Hanada」他。2023年より台湾をベースに。著書に「習近平vs.中国人」(新潮新書)他。調査報道NPO「インファクト」編集委員。

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