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大谷翔平の先発投手ランキングは141位

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
野球統計学の権威による先発投手ランキングで141位の大谷翔平(三尾圭撮影)

 右肘の靭帯損傷で投球を控えているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。野球統計学の権威であるビル・ジェームズ氏が算出した「先発投手ランキング」では141位にランクインしている。

 メジャー1年目の大谷は、前半戦で9試合に先発して4勝1敗、防御率3.10の数字を残している。

 セイバーメトリクスの第一人者として知られ、球界にいくつもの変革をもたらしたジェームズ氏は、選手の能力を数値化する計算式を多数編み出してきた。

 そんなジェームズ氏が、「テニスやゴルフには毎週更新される世界ランキングがあるのに、なぜ野球にはないのだろうか?」と疑問に思い、編み出したのが「先発投手ランキング」だ。

 

 ランキングの算出方法はこうだ。

 まず、全ての先発投手に300ポイントが与えられる。

 投手が先発すると、先発した試合の「ゲームスコア」の3割がポイントとして加算される。

 「ゲームスコア」とは、ほとんどの読者の方が聞き慣れない言葉だと思うが、ジェームズ氏が考案した「ゲームスコア」とはこう言うものだ。

  • 先発投手は50ポイントが与えられる
  • アウトを記録する度に1ポイント
  • 4イニングを投げると、以後1イニングを投げるごとに2ポイント
  • 奪三振1つにつき1ポイント
  • 被安打1つにつきマイナス2ポイント
  • 自責点1につきマイナス4ポイント
  • 自責点が付かない失点1につきマイナス2ポイント
  • 与四球1つにつきマイナス1ポイント

 9回を投げ、27奪三振の完全試合を達成したと仮定すると、50+27(アウト・ポイント)+10(イニング・ポイント)+27(奪三振ポイント)で、114ポイントが与えられる。9回を投げた場合、この114ポイントが最大となる。

メジャーでの大谷の「ゲーススコア」自己最高は、7回を1安打、無失点、12奪三振、1四球に抑えた4月8日のアスレチックス戦で記録した86ポイント(三尾圭撮影)
メジャーでの大谷の「ゲーススコア」自己最高は、7回を1安打、無失点、12奪三振、1四球に抑えた4月8日のアスレチックス戦で記録した86ポイント(三尾圭撮影)

 実際の試合で先発投手が得た歴代最高の「ゲームスコア」は、1998年5月6日の対ヒューストン・アストロズ戦で、シカゴ・カブスのケリー・ウッドが、9回を1安打、無失点、20奪三振、無四球に抑えた試合での105ポイント。

 現役の選手だと、ワシントン・ナショナルズのマックス・シャーザーが2015年10月3日のニューヨーク・メッツ戦で17奪三振、無四球でのノーヒットノーラン(味方野手のエラーで走者を1人出した)で、104ポイントのパフォーマンスが最高だ。

 長いメジャーの歴史の中でも100ポイント超えの試合は14回しか達成されておらず、現役だとシャーザーが2回、クレイトン・カーショー(ロサンゼルス・ドジャース)、ゲリット・コール(アストロズ)、そして意外にもブランドン・モロー(カブス)がそれぞれ1回ずつ記録している。

 100ポイント試合達成の歴代最高はノーラン・ライアン(エンゼルス、テキサス・レンジャースなど)の3回だ。

現役投手で唯一「ゲーススコア」100ポイント超えを2度達成しているマックス・シャーザー(三尾圭撮影)
現役投手で唯一「ゲーススコア」100ポイント超えを2度達成しているマックス・シャーザー(三尾圭撮影)

 「先発投手ランキング」では、投手が先発する度に「ゲームスコア」の30%が加算され、過去のゲームスコアは3%ずつ引かれていく。

 また、「先発投手ランキング」では故障や不調などでローテーションを守れない投手にはペナルティを与えており、先発登板間隔が7日以上空くと1日につき0.25ポイント減算され、201日以上先発しない場合は1日につき1ポイントが引かれる。また、先発試合が行われた球場の特性により、微妙な修正が施される。

 大谷が先発した9試合の「ゲームスコア」は、先発順に59、86、35、42、56、72、67、59、51で、7月19日時点での大谷のポイントは356.5で、141位にランクされている。

 1位は597.5ポイントのシャーザーで、592.0ポイントのクリス・セール(ボストン・レッドソックス)が2位。2年連続でオールスターゲームの先発として投げ合った2投手がトップ2を占める納得のランキングだ。

 3位以下はジャスティン・バーランダー(アストロズ、585.1)、コリー・クルーバー(クリーブランド・インディアンズ、576.6)、ジェイコブ・デグルーム(メッツ、547.9)、カーショー(536.7)とリーグを代表する投手の名前が並ぶ。

 日本人投手は491.0ポイントの田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)の17位が最高で、前田健太(ドジャース、457.0)は40位、ダルビッシュ有(カブス、442.8)が57位、岩隈久志(シアトル・マリナーズ、325.0)が209位タイとなっている。

先発投手ランキングで日本人投手最高位となる17位にランクインする田中将大(三尾圭撮影)
先発投手ランキングで日本人投手最高位となる17位にランクインする田中将大(三尾圭撮影)

 大谷は今日、7月19日に肘の靭帯の再検査を受けて、そこで今後の復帰への道のりが決まってくる予定だが、靭帯の損傷が回復して、少しでも早くマウンドに戻って来て、ランキングを上げていってもらいたいものだ。

 

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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