Yahoo!ニュース

アジア諸国の日本への思いをさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本はアジア諸国からどのような認識をされているのか(写真:アフロ)

アジアの国々の人たちは日本にどのような思いを抱いているのか。6か国の日本への好感度の実情を、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月に発表した、日本の現状に関する調査報告書「Japanese Divided on Democracy’s Success at Home, but Value Voice of the People」(※)を基に確認する。

次に示すのは直近分となる2017年における、アジア諸国が日本をどのように認識しているか。青系統が好感派、赤系統が嫌悪派と見れば大よそ実情は把握できる。

↑ 日本への好感度合い(2017年)
↑ 日本への好感度合い(2017年)

強弱の違いはあれど、オーストラリアとベトナムがほぼ同率で好感派が8割強、インドネシアとフィリピンの好感派は8割前後。インドは好感派が4割強でしかないが、これはグラフを見れば分かる通り、4割強もの人が無回答のため。距離を隔てているためか、関心そのものが薄いようだ。

他方韓国は好感派は強弱を合わせても3割強。逆に嫌悪派は強弱を合わせて7割近く。嫌い・大変嫌い双方とも調査対象国では最大値を示しており、特に「大変嫌い」の回答率だけでも26%と1/4を超えている。韓国の日本への嫌悪感は相当なものであるようだ。報告書では原因の一つとして従軍慰安婦問題があるのではとの指摘もしているが、それだけに限った話ではないのが実情だろう。

その韓国に対する日本の認識は次の通り

↑ 韓国への好感度合い(日本)
↑ 韓国への好感度合い(日本)

韓流ブーム華やかなりし頃はそれなりに好感派も多かったが、それが終わると値は大きく落ちる。現在では韓国の日本に対する認識とさほど変わりはない。

ちなみに日本に対する認識の好感派の推移は次の通り。調査年によって調査対象となった国とならない国があるため、値の動きがやや不自然となってしまっている。

↑ 日本への好感度(「大変好き」「好き」「嫌い」「大変嫌い」のうち「大変好き」「好き」の合計)
↑ 日本への好感度(「大変好き」「好き」「嫌い」「大変嫌い」のうち「大変好き」「好き」の合計)

オーストラリアやインド、インドネシア、フィリピンの好感派の多さは昔からのもので、大きな動きはない。むしろ直近の2017年では上昇する動きすら見受けられる。インドが低めに出ているのは上記の説明の通り、無回答の人が多いため。この傾向も昔から。

そして韓国だが、韓流ブームで韓国が持てはやされていた頃は、日本への好感派もそれなりに多かったものの、それでも他国と比べれば少なめ。そしてブームが終われば大きく値を下げる形となっている。昨今では少しずつ持ち直してはいるが、他国と比べれば嫌悪派が多数に変わりはない次第ではある。

■関連記事:

アジア諸国の景況感の現状と将来の見通しをグラフ化してみる

日本が一番中国二番…アメリカ合衆国のアジア地域諸国に対するパートナー意識の重要度推移をグラフ化してみる

※Japanese Divided on Democracy’s Success at Home, but Value Voice of the People

実施期間は2017年3月から4月。主に電話による音声対応でのインタビュー形式で行なわれており、RDD方式で選ばれた電話番号(固定電話と携帯電話が半々)にかけて、電話に出たのが18歳以上だった人が対象。総回答者数は各国約1000人。性別、年齢階層別、地域別などでウェイトバックが実施されている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事